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越冬中のサシバ(宇検村)


亜熱帯に属する奄美大島へは、さまざまな渡り鳥が越冬のためにやってきます。その中でも、猛禽類のサシバは、毎年必ず奄美大島南部に位置する宇検村で越冬します。サシバは体長約45cm~50cm。カラスとほぼ同じぐらいの中型の猛禽で、本州以南の里山に生息する夏鳥です。毎年4月上旬、本州本土に渡来し、水田の周辺でカエルやトカゲ、ヘビなどを捕らえて生活し、雑木林のアカマツやスギの他、広葉樹にも営巣し、子育てをします。卵は2~3個で約30日でヒナが誕生します。巣立ちまでは約40日かかり、その後、一人立ちしたサシバの幼鳥は、秋に多くの仲間達と共に本州以南を目指して越冬の旅をします。

長野県白樺峠や愛知県伊良湖岬、鹿児島県佐田岬などでは、沢山のサシバが群れになって、旋回上昇をする様子(通称:タカ柱)が観察されるため、毎年9月下旬から10月上旬には多くのバードウォッチャーが訪れます。※2017環境省レッドれーたリスト絶滅危惧種II類(VU)本文:奄美大島南部の宇検村でサシバが初めて確認されたのは、9月30日。村内の宇検集落で3羽が確認されました。その後、三々五々やってきたサシバは、成鳥、幼鳥を問わず、それぞれがテリトリーを形成します。テリトリーの範囲は200~500m。宇検村の様々な場所に定着していきます。

その後、トカラ列島を南下したサシバの群れが、10月9日、奄美市小宿付近に上陸し、タカ柱を形成。旋回上昇すると、一部は金作原方向へ、大半は大和村方向へと向かいます。翌日から、宇検村の宇検集落北側で観察を行っていると、10月10日の午前11時25分に100羽ほどの群れがやってきて、峰田山北側上空でタカ柱を形成、旋回上昇した後、瀬戸内町油井岳方向に滑翔して行きました。

この日は15時01分にもサシバの群れがやってきて、延べ280羽が南へと渡って行きました。翌日は天気も悪く18羽しか見ませんでしたが、翌12日は朝から快晴で、サシバは三々五々集まってきましたが、9時30分に約300羽の群れが出現したのです。

その後、11時15分に約100羽。11時20分に約150羽、14時13分に約150羽。そして14時19分には、約100羽の群れが通過し、述べにすると1100羽のサシバが渡って行きました。そして、15日には26羽。16日は20羽のサシバを確認出来ましたが、移動個体なのか定着個体なのかは不明でした。ちなみに、本土では考えられないことですが、こうした様子を観察しているのは、ここでは私一人です。

10月18日からは移動個体が落ち着いた様子でしたので、奄美で私が暮らす宇検村(103.1㎢)内に定着しているサシバは何羽いるのか気になり、時間をかけて調査をしてみようと思ったのです。越冬地のサシバは繁殖が目的ではないため、一定の場所で誇示行動をする必要もありません。テリトリーの中で獲物を捕食するのに都合の良い止まり木や電柱、電線、民家のアンテナ、道路脇のガードレールなどに止まっています。そのため、14ある宇検村全集落に生息するサシバの個体写真をテリトリーごとに撮影し、その地域を示す記号と個体番号に加え、成鳥、若鳥、幼鳥の分類で記録していけば、宇検村に何羽のサシバがいるのかを推定出来ると考えたのです。 個体写真を撮っていくと、意外にも幼鳥のテリトリーに隣接する個体は、若鳥か成鳥が多く、幼鳥同士のテリトリーが隣接するケースは稀で、このようにして個体写真とテリトリーを調査した結果、113羽の個体識別をすることが出来ました。写真が撮れたサシバ以外に、遠方で確認された個体も含めると、確認個体は180羽になり、宇検村全体で推定220~250羽が越冬しているものと考えられます。個体識別した112羽の内訳は、成鳥が33羽、若鳥37羽、幼鳥42羽で、その後もこれらの個体の行動を記録し続けています。

その行動の中で、現在までに解ったことを報告すると、渡来直後は山頂部や沿岸部にテリトリーを形成し、昆虫を捕獲していた個体も11月中頃になると昆虫が少なくなるため、集落付近に獲物を求めてやって来ます。すると、そこで本来テリトリーを形成している個体と衝突が起きるのですが、状況的には、最初に広葉樹の横枝などで獲物を探している個体に、後から進入してきた個体が近づくと、テリトリーを持った個体が鳴き声を挙げ、威嚇します。そして、お互いの距離が最も近づいた瞬間、鋭い爪がある脚を使った蹴り合いがはじまるのです。観察した限りでは、2時間も睨み合いが続いたケースや、サシバ同士の争いにカラスが加わり、三つ巴となるケースも見られ、そうした争いも、幼鳥と若鳥では若鳥が有利で、幼鳥同士だとカラダが大きいメスが有利でした。奄美大島のサシバの獲物は昆虫が多く、渡来直後は空中でセミを捕獲したり、バッタやカマキリなど広葉樹の樹上で捕獲していました。

冬季になると風の強い日が多い奄美大島では、果樹園を取り巻くように暴風林が設置されていますが、サシバはその風を避けるように果樹園の中で獲物を探しています。多少の雨は苦にしない様子ですが、豪雨の場合は林内に避難するようです。また、1月になるとサトウキビの畑が耕されるにつれ、獲場も拡大されて縄張り争いもなくなってきます。以上これまで観察した結果ですが、今後は、奄美大島に初めて渡来したサシバの幼鳥が、どのように成長していくのか。春、どのようなルートで本土へと渡って行くのか。繁殖地と同様に越冬地でも同じ場所に、同じ個体が帰って来るのかなどを調べてみたいと思います!

#サシバ猛禽野鳥観察

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